「それでも急ぎ彼と接触する必要があるから、出来るだけそっちにいる人間でも、どうにか頑張らせろ。へたをすると、こっち側に関与出来る影響力まで与えられて、僕の考えている法則が通用しなくなるかもしれない」
『…………てめぇの言い分は、いつも謎過ぎてよく分からねぇが、特例の緊急事態ってのは分かる。まだ二十四時間経っていない状況で、四人も死ぬなんてのは尋常じゃねぇスピードだ』

 電話の向こうで、三鬼が真剣な様子で声を潜めた。

『こうして四人のガキ共を、それぞれの班が直接保護して見張っている中で、お前が考えている一番近い可能性のある『最悪のパターン』ってのを教えろ』
「無関係な人間を巻き込みながら『不運のように事故』が起こり、残った少年たちは『たまたま偶然にも事故に遭遇』した事で死に、けれど死体だけ上がってこない状況だ」
『――珍しく回答を渋られなかったのはいいが、一気に言われて、なんだか余計に分からなくなった』
「――だろうな。だから僕も、本当は言いたくなかった」

 二人の男が、それぞれ真面目な声色で言って沈黙した。