つまりは、今のところ例の不良少年の全員の保護が完了したという事だ。真由はそう知って、ホッと息をついた。

「安心するのはまだ早い。三鬼に、与魄少年はまだか訊け」

 すると、宮橋が車を運転しながらそう言った。真由は座席に押されるような加速を感じつつ、それを三鬼へ伝える。

「あの、与魄君は? って宮橋さんが訊いています」
『この辺で目撃情報はあるんだが、全然捕まらねぇんだよ。何人かのメンバーも、実際に目にしたらしい。でも追い駆けて角を曲がったら、誰もいないんだと。一体どうなってんだ?』

 黄色いスポーツカーが、砂利の畑道からアスファルトの田舎道に進んだところで、一気に減速して路肩に寄せられた。

 真由がびっくりしている間に、宮橋が「面倒だな、ちょっと貸せ」と長い腕を伸ばして、携帯電話を取り上げて自身の耳に押しあてた。

「本人は逃げているつもりはないと思う。まだ何も知らない可能性の方が高い」
『あッ、てめぇ。はじめっから出ろよな! 紛らわしいんだよ!』