「あの、もしもし、三鬼さんですか? こちら橋端真由です」
『あ? 宮橋はどうしたよ』
「え~っと――…………その、運転中です」

 真由は、上手い言い訳を考えるのに時間を要した。

 再び車が走り出したタイミングで、電話の向こうから小さく舌打ちが聞こえてきた。

『お前らが、急ぎとかいうその事情聴取を無事に終わらせたのか、まだ他にも何かやってんのかは知らねぇが、あ、いや、別にお前に文句を言っているわけじゃなくて、隣で聞き耳を立てている宮橋の野郎にだな……――くそッ、面倒だな』

 すみません、私が間に入ってしまっていて。

 真由は、電話の向こうの三鬼の様子を思い浮かべて、心の中で謝った。隣の運転席で、涼しげな表情を浮かべている美貌の先輩刑事が嫌だな、と思った。

『今、捜索が出ている四人のガキどもに、それぞれ五人ずつウチの刑事を付けた。筒地山亮の電車には、十分前に小楠警部たちが乗り込んで合流した。俺たちのところでは、マサルってガキを預かってる。今、サンサンビル向かいのカフェの表のテラスにいる』