「で、これからどうするんですか?」

 真由は、小楠警部たちの方はどうなっているんだろう、と考えながら尋ねた。自分は彼の発案で、急きょこうして事情聴取に乗り出していたわけだが、助けてくれと連絡のあった少年の保護に、進展はあったのだろうか?

 すると、こちらに目も向けないまま、宮橋が車のエンジンをかけて「一番の目的としては、与魄少年と接触したい」と答えた。

「彼に話を聞いてみない事には、起こっている事の現状が正確には把握出来ない。とはいえ、まずは捜査の状況について知るのが先だな――小楠さん辺りにでも電話を掛けてみてくれ」
「警部なのに『辺りにでも』と言って片手を振るところ、いい加減すぎやしませんか……?」
「ほぉ。君は相変わらず、なかなか正直な口をしているようだな」
「うわあああなんで私うっかり口に!? いやいやいや、何も言っていないですよ、電話ですよね、今すぐ確認します!」

 車を走らせ出したにもかかわらず、薄ら笑いの美麗な顔を向けられて、真由は慌てて自分の携帯電話を取り出した。視線を前に戻しながら、彼が自然な様子で「ふはっ」と笑う吐息をこぼしたが、少し前に脅されたガムテープの一件が蘇って目を向けている暇はなかった。