「子供たちの誰かに、何かあったのですね?」
カヨへ視線を向けた宮橋は、しばらく黙っていたが、真由の華奢な腕を掴んだまま「そうです」と答えていた。
「あなたのお孫さんです」
「いつか、誰かがまたそうなるのではないだろうか、とはずっと思っていました。しかし、まさか孫だなんて……もう、どうにもならないのでしょうか? 孫もまた、トモノリ義兄さんや、夫と同じようになってしまうのですか?」
人生が終わってしまうのか、とカヨは尋ねているようだった。
真由は、痛みを与えないながらも、しっかり掴んで離さない大きな手の熱を覚えながら、廊下から宮橋の横顔とカヨを見つめていた。すると、彼が端正な顔を弱々しく横に振った。
「僕は、変えられるはずがない『物語』を騙し抜いた、一人の魔術師を知っています。けれど彼は、もうこの世にはいません。出来る限りの事はさせて頂きますが、この代々続く『物語』に終止符を打てたとしても、最後の一人である彼を助けられるかどうかは――……お茶、ご馳走様でした」
カヨへ視線を向けた宮橋は、しばらく黙っていたが、真由の華奢な腕を掴んだまま「そうです」と答えていた。
「あなたのお孫さんです」
「いつか、誰かがまたそうなるのではないだろうか、とはずっと思っていました。しかし、まさか孫だなんて……もう、どうにもならないのでしょうか? 孫もまた、トモノリ義兄さんや、夫と同じようになってしまうのですか?」
人生が終わってしまうのか、とカヨは尋ねているようだった。
真由は、痛みを与えないながらも、しっかり掴んで離さない大きな手の熱を覚えながら、廊下から宮橋の横顔とカヨを見つめていた。すると、彼が端正な顔を弱々しく横に振った。
「僕は、変えられるはずがない『物語』を騙し抜いた、一人の魔術師を知っています。けれど彼は、もうこの世にはいません。出来る限りの事はさせて頂きますが、この代々続く『物語』に終止符を打てたとしても、最後の一人である彼を助けられるかどうかは――……お茶、ご馳走様でした」