「ヨシノリ、という名に心当たりは?」
「義兄の名がそうですけれど……」
宮橋は会釈をして「そうですか。――お話をありがとうございました」と、早々に立ち去ろうとした。呆気に取られて疑問符を浮かべているこちらに気付くと、怪訝そうに眉を寄せて「行くぞ」と声をかける。
「えっと、帰るんですか? というか『トモノリさん』というお名前は、また一体どこから湧いて出たんですか」
そう尋ねて立ち上がった矢先、真由は宮橋に腕を掴まれていた。そのまま出口へと向けて歩き出す彼に引っ張られて、びっくりしながらも慌てて足を動かせる。
「ちょ、そもそも分からない事だらけなんですけど」
「どうせ忘れるから、言っておこう。はじめから謎のキーワードのうちの一つだった。現場となった場所にも、映し出された写真にも、ずっと『トモノリ』だらけだ」
「はぁ? というか、どうせ忘れるってどういう意味ですか」
連れ出された廊下で、真由が「私そんなに記憶力悪くないですよッ」と疑われている能力について反論した時、腰を庇うように廊下に顔を覗かせたカヨが「刑事さん、待ってッ」と呼び止めて、宮橋がピタリと足を止めた。
「義兄の名がそうですけれど……」
宮橋は会釈をして「そうですか。――お話をありがとうございました」と、早々に立ち去ろうとした。呆気に取られて疑問符を浮かべているこちらに気付くと、怪訝そうに眉を寄せて「行くぞ」と声をかける。
「えっと、帰るんですか? というか『トモノリさん』というお名前は、また一体どこから湧いて出たんですか」
そう尋ねて立ち上がった矢先、真由は宮橋に腕を掴まれていた。そのまま出口へと向けて歩き出す彼に引っ張られて、びっくりしながらも慌てて足を動かせる。
「ちょ、そもそも分からない事だらけなんですけど」
「どうせ忘れるから、言っておこう。はじめから謎のキーワードのうちの一つだった。現場となった場所にも、映し出された写真にも、ずっと『トモノリ』だらけだ」
「はぁ? というか、どうせ忘れるってどういう意味ですか」
連れ出された廊下で、真由が「私そんなに記憶力悪くないですよッ」と疑われている能力について反論した時、腰を庇うように廊下に顔を覗かせたカヨが「刑事さん、待ってッ」と呼び止めて、宮橋がピタリと足を止めた。