真由は、ますます解からなくなった。すると、カヨが「ツギハギの人形、と言えば」と口の中で反芻し、思い出したようにこう言った。
「昔、夫がお酒の席で、陽気で活発な義兄も人見知りをしていた時代があった、と語っていた事がありました。『兄の部屋には手製の歪な形の人形があった、材料を統一すればいいのに全て不揃いで、作ってはバラバラにして、飽きもせずまた組み立てていたものだ』とか」
「――そう、ですか」
ぎこちなく答えた宮橋は、「教えてくれて、ありがとうございました。お話は以上です」と言って話し合いの終了を告げたが、その表情はこれまで以上に硬かった。深く考えるように、どこかぼんやりとした眼差しを縁側へと向ける。
もう話は終わったのだと教えられたせいか、カヨが肩から強張りが抜けたような表情で、真由に向き直ってハンカチを差し出した。
「ごめんなさいね、突然泣いてしまって」
「あっ、いえこちらこそ、お辛いのに色々とお話し頂いて、すみませんでした」
真由はハンカチを受け取ると、カヨにつられて色気もないぎこちない微笑みを返した。その時――
「――結局のところ、アレは物語のままに進むのか。一度失敗してしまったから、もう次は間違えないのだろう。だから、わざわざ不安定になった契約主の元へ一度戻って『自殺を未然に防いだ』わけか」
「昔、夫がお酒の席で、陽気で活発な義兄も人見知りをしていた時代があった、と語っていた事がありました。『兄の部屋には手製の歪な形の人形があった、材料を統一すればいいのに全て不揃いで、作ってはバラバラにして、飽きもせずまた組み立てていたものだ』とか」
「――そう、ですか」
ぎこちなく答えた宮橋は、「教えてくれて、ありがとうございました。お話は以上です」と言って話し合いの終了を告げたが、その表情はこれまで以上に硬かった。深く考えるように、どこかぼんやりとした眼差しを縁側へと向ける。
もう話は終わったのだと教えられたせいか、カヨが肩から強張りが抜けたような表情で、真由に向き直ってハンカチを差し出した。
「ごめんなさいね、突然泣いてしまって」
「あっ、いえこちらこそ、お辛いのに色々とお話し頂いて、すみませんでした」
真由はハンカチを受け取ると、カヨにつられて色気もないぎこちない微笑みを返した。その時――
「――結局のところ、アレは物語のままに進むのか。一度失敗してしまったから、もう次は間違えないのだろう。だから、わざわざ不安定になった契約主の元へ一度戻って『自殺を未然に防いだ』わけか」