「あなたが、小さい女性のせいかしら?」
「うっ、確かに平均より、ちょっと小さいのは認めますけど……」
「確かに、君は小さいな。これで平均に近いというのは、君の認識不足じゃないのか?」

 ひどい。真由は、チクショーと悔しくなって、隣からしげしげと見下ろしてきた宮橋に「手でわざわざ計らないでくださいッ」と涙目で訴えた。警察学校で鍛えようにも、全く太くならなかった華奢さはコンプレックスだったのだ。

 すると、テーブルを挟んで向かい側に、カヨがゆっくりと腰を降ろしながら「外人さんなのですか?」と尋ねて、宮橋がコンマ二秒ほど固まった。彼女は膝か腰を痛めた経験でもあるのか、重ねられた座布団の上に慎重に腰を降ろす。

 少し遅れて、宮橋が「いえ、僕は生粋の日本人ですよ」と小さな苦笑を浮かべて答えた。

「ちょっとばかし、色素が薄いんです」

 そう言った彼が、出されたグラスにも手を付けないまま話を切り出した。