「ふむ、そうだな。猫の手も借りたいと思った時には、君の手を貸してくれ。猫より手先が器用な方がいい」
きっと自分の思い過ごしだろうけれど、相棒として信頼されてきているような気がして、真由は嬉しくなって笑ってしまい「了解」とだけ答えた。
黄色いスポーツカーは、国道から左へと道を折れて市の大通りへと抜けた。途中で中道にそれると、左右は畑風景に染まった。時速規制の標識も車もない一本道を、スポーツカーは場違いな美しい外観を見せびらかして走る。
同じような田園風景が真っ直ぐ続いていたため、どうやら自分の速度感覚は鈍っていたらしい。路肩近くを走っていた自転車を追い越した時、一瞬で車窓から消えて、真由はギョッとした。
もしやと思って車の速度メーターを見ると、六十キロは軽く越えていた。
「宮橋さんッ、スピード出し過ぎ!」
「それは君の気のせいだ。おっと、目的の家はこの辺だな」
音を消してあったカーナビを見やり、宮橋が平気な顔で話をそらすようにそう言った。車の速度を落として、荒れた細いアスファルトから砂利の畑道へと乗り上げる。
きっと自分の思い過ごしだろうけれど、相棒として信頼されてきているような気がして、真由は嬉しくなって笑ってしまい「了解」とだけ答えた。
黄色いスポーツカーは、国道から左へと道を折れて市の大通りへと抜けた。途中で中道にそれると、左右は畑風景に染まった。時速規制の標識も車もない一本道を、スポーツカーは場違いな美しい外観を見せびらかして走る。
同じような田園風景が真っ直ぐ続いていたため、どうやら自分の速度感覚は鈍っていたらしい。路肩近くを走っていた自転車を追い越した時、一瞬で車窓から消えて、真由はギョッとした。
もしやと思って車の速度メーターを見ると、六十キロは軽く越えていた。
「宮橋さんッ、スピード出し過ぎ!」
「それは君の気のせいだ。おっと、目的の家はこの辺だな」
音を消してあったカーナビを見やり、宮橋が平気な顔で話をそらすようにそう言った。車の速度を落として、荒れた細いアスファルトから砂利の畑道へと乗り上げる。