車は県警所在地から、二つ隣の市へと突入した。所々に緑や畑が顔を覗かせ、築年数の古いスーパーや住宅の数が多い風景に変わっていた。

「与魄君の、おばあちゃんの家に向かっているんですよね?」

 沈黙が続くのも慣れなくて、なんとなく尋ねてみると、宮橋が前を見据えたまま肯定するように頷いた。

「実際に会って話を聞くとは決めていたが、意外と近くだと聞いて安心したよ。確認しない事には、対策も立てられないならね」

 それが一体なんの対策であるのか、真由には検討も付かなかった。

 とはいえ、彼なりに何か考えがあっての事なのだろう。だから、ほとんど役二立てていない自分が出来る範囲の事を尋ねてみる事にした。

「宮橋さん」
「ん? なんだ」

 問いかけたら、なんだか愛想の良い美麗な表情がこちらに向けられた。身長が高いせいで座高もあるから、運転しながらも少し背を屈めるみたいに彼が覗きこんでくる。

「私に、何か出来る事はありますか?」