「他の少年たちと同様に、急ぎ捜索すると言っていましたし、きっと大丈夫ですよ」

 そう続けながら、どことなく自分に余裕が生まれているのを感じた。署を出る際、先輩である彼についていけば大丈夫だ、と不思議とそう思ってしまい、右も左も分からない新人時代だった頃と同じく、まずはごちゃごちゃ考える事をやめてみたせいだろうか?

 赤信号で車が止まった。不意に、宮橋がくるりとこちらに顔を向けてきて、真由はドキリとしてしまった。端正な顔立ちをした彼に真っ直ぐ見つめられ、じぃっと切れ長の茶色い瞳に射抜かれて、つい落ち着かなくなる。

「えぇと、なんでじっと見てくるんですか……?」
「君は、何も訊いてこないな。分からない事だらけだと、そう感じてはいないのか?」

 信号が青に変わって、車は緩やかに加速を始めた。滑るような心地良さで進み出す中、真由は少し考えてこう言った。

「うーん、私はあんまり賢くはないので、うまくは言えませんが……なんだろ。宮橋さんに付いていけば、なるようになるかなぁって?」
「ははは、つまり君は馬鹿なんだな」