宮橋の黄色いスポーツカーの助手席に座った真由は、一通りの連絡や確認作業を電話ですませたあと、車が着々と県警から離れて行くのを眺めていた。どうやら彼は、これから真っ直ぐ与魄智久の祖母である女性に、話を聞きに行くというのだ。

 時刻は四時三十五分。国道に乗った車は、速度制限が比較的に速い道ばかりを選んで走っている事もあり、暴走のないまま既に隣の市へと踏み込んでいた。

「僕がもっとも気になっているのは、与魄智久の行方が分からない事だな。彼とも直接話し合わなければならない」
「学校側に確認したら、四時前には帰るところを見たって言っていました。でも家は学校から十分の距離らしいのに、近くの捜査員が訪ねてもいなかったって連絡も、さっきありましたよね」

 車に乗り込んで、真由は真っ先に学校へ問い合わせをしていた。その直後、宮橋の携帯電話に連絡が入って、運転手である彼の代わりに電話に出て話を聞いたのだ。