「一人では動くな、絶対にだッ」
「…………落ち着きなよ、小楠警部。そこにいる『相棒』を連れるんだ、実際には単独行動になるわけじゃない。ただ、これはもう完全に僕の領分だ」

 肩越しに親指を向けられて、真由は遅れて「あ、はいッ。勿論私が同行しますよ!」と反射的に答えていた。どうしてか、宮橋が少し落ち込んで反省しているように感じてしまい、つい勢い余って場に似合わない元気な声が出た。

 小楠が「すまない、そうだったな、真由君という相棒がいた」と緊張が解けた息を吐きながら言った。

「それで、お前はどうする気なんだ?」
「少し話を聞きたい相手がいる。ああ、それからこの少年――与魂智久に関しては、見つけ次第すぐに連絡をくれ」

 宮橋はそう言い、踵を返して歩き出した。静まり返った室内で、彼が自分に言い聞かせるような声で、こう呟くのが聞こえた。

「これは、とても悲しい結末を迎えるだろう。どんなに考えても、同じ結果にしか辿り着かないなんて」