「だが、俺は何度でも言ってやる。理解出来ないかどうか、話してみなけりゃ分からねぇだろうが」
「何度も言ってくるのがムカツクんだ、馬鹿三鬼め。そもそも、身に受ける言葉と情報が、どれほど重い意味を持って己の行く先を狂わせるのか、君も知っているはずだろう。だから『フジサワさん』は、否応なしに巻き込まれて食――」

 勢いのまま口にしていた宮橋が、不意に詰まらせたように言葉を切った。

 唐突に止んだ声に、若い捜査員たちが戸惑いを浮かべた。真由は、わずかに見開かれた彼の瞳に、後悔と諦めが過ぎったように見えた気がして、その視線がゆっくりと落ちていくのを見つめていた。

 宮橋は数秒ほど黙りこみ、形のいい唇をきゅっと引き結んだ。まるで自身を落ちつけるかのようにニ、三度深く呼吸して前髪をかき上げる。けれど視線はそらされたままで、拒絶しているように三鬼を見つめ返す事もなかった。

「――いいか、三鬼。お前たちは、残りの少年たちを保護してくれればそれでいい。僕は僕で、勝手に一人でやる」
「それは許可出来ん!」

 間髪入れず、小楠がその意見を一蹴した。