「チクショー一体何がどうなってやがんだよッ、きちんと説明しやがれ!」

 そう三鬼が怒鳴って、そばで見守っていた真由は、反射的にビクリと肩をはねさせてしまった。こういった緊迫した空気がずっと続くのは、とても苦手だった。

 すると、宮橋は実に不愉快だと言わんばかりに、秀麗な真由を顰めて煩そうに彼を見やった。

「僕は対策も下準備もないまま飛び込んで、運命と輪廻から外れたモノに呑み込まれるのはごめんなんだ。そもそも君に理解出来ない事を、そうと知っていて何故、僕が必死に説明しなくちゃならない?」

 宮橋は、苛立ったように言葉をまくし立てた。刺すような雰囲気と攻撃的な言葉に気圧され、後ろにいた真由と藤堂は思わず一歩後退する。室内にいた全員が、珍しく威圧感をまとう彼に圧されて黙っていた。

 対する三鬼は、長い付き合いで睨み返していた。胸元を指先で叩いてくる宮橋を注意するでもなく、「耳にタコが出来るくらい聞かされたな」と言い返し、喧嘩を売るように顎を少し引き上げて、近くから指を突きつけた。