「今の段階でなら、とおっしゃっていましたが、つまり以前にもあったように一時的な処置なわけですよね……? もし事件解決まで時間が長引いた場合、最悪どういった事が想定されますか?」
「考えられる中での最悪なパターンは、大勢の人間がいようと関係無しに、『殺人犯』が動けるようになる可能性だろうね」

 その時、場の異様な沈黙と緊張感の中で、パソコンに向かって控えめにキーボードを叩いていた女性捜査員が「あの……、電話番号と住所が出ました」と言った。

 三鬼がギシリと奥歯を軋ませて、宮橋を睨みつけた。

「『外』にいる連中には引き続き捜査をさせて、こっちではガキの保護だけして待機していろと言いたいのか? お前が、その『確認』とやらをしてくるまで?」
「保護以外の動きについては、そっちに任せる。僕は僕の仕事をするまでだ――ただし、少年たちを署には連れ込むな。考えなしで動くと、最悪ここにいるメンバーの誰かが死ぬ事になる」