「不可解な事件には、なんらかのトリックがある。しかし、トリックさえも見つけられない事件というのは、僅かながら確かに存在する。――そして、それはウチが一番多い」
「え?」
「土地柄的なものかは分からんが、全く解決できない不可解な事件が、ここでは全国で一番多く起こっている。それに対応するのが、彼のいるL事件特別捜査係だ」
言葉を切って再び窓の外を見やった小楠の横顔には、複雑な表情が浮かんでいた。まるで、これまでの記憶を手繰り寄せるような彼の過去には、冗談では済まない重い真実があるような気がして、真由はしばらく掛ける言葉を探せなかった。
「えっと、『彼』なら、そんな事件を解決してくれると……?」
ようやく、彼女はそう訊くことができた。本当にそんな事が起こり得るのだろうか、と自分なりに少しばかり考えてみて、よく小説にある探偵のような人なのかなあ、と思ったりする。
小楠は振り返ると、「そうだ」と深く頷いた。
「え?」
「土地柄的なものかは分からんが、全く解決できない不可解な事件が、ここでは全国で一番多く起こっている。それに対応するのが、彼のいるL事件特別捜査係だ」
言葉を切って再び窓の外を見やった小楠の横顔には、複雑な表情が浮かんでいた。まるで、これまでの記憶を手繰り寄せるような彼の過去には、冗談では済まない重い真実があるような気がして、真由はしばらく掛ける言葉を探せなかった。
「えっと、『彼』なら、そんな事件を解決してくれると……?」
ようやく、彼女はそう訊くことができた。本当にそんな事が起こり得るのだろうか、と自分なりに少しばかり考えてみて、よく小説にある探偵のような人なのかなあ、と思ったりする。
小楠は振り返ると、「そうだ」と深く頷いた。