後ろで聞いていた捜査員たちが、そこにある『央岬(おうざき)誠(まこと)』の名前を確認する。気になってすぐ近くまで来ていた真由も、藤堂と揃ってそちらを覗きこんでいた。

「とはいえ、央岬誠からの連絡が途切れた時から、何者かの視線についてはあまり感じなくなった――と僕は推測しているのだけれど、どうだ?」

 スピーカーから、唾を飲む音が聞こえた。

『……あんたの言う通りだ、今は、ない』
「ああいうタイプのモノを抱えられる人間は、大抵が二つの意思を持つ事を当たり前としていてね。つまり、彼らは産まれ落ちた時から、その流れる血ゆえに『孤独を感じる事がない』、『独りであるという感覚を知らない』んだ」

 宮橋が、どこかぼんやりとした様子で、独り言のように説いた。

「長く離れる事によって、初めて感じさせられる『独り』という感覚は、彼らにとって一番耐えがたくおぞましい物であるらしい。精神のバランスを崩す事がある。だから一旦は、戻ったのだろうとは思うけれど――残りの三人は、どこにいる?」