「君は、時間の無駄をしたいのか? いいから答えて」
『……夜明け前くらいに、突然、非通知で着信があった』

 スピーカーから聞こえるその声は、奥歯を小さくガチガチと鳴らしていた。

『ノイズ音をずっと聞いていたら、作り物の声みたいなのがぼそぼそ話して、俺の名前をピンポイントで言って尋ねてきた。それが数回続いて、電源を切ったら近くにいた人間の携帯電話に着信がかかってきて、俺、怖くなって走って……』
「それで、友人たちの死亡のニユースを知ったわけか。機器を通さない状態で、声は聞いたか? もしくは、実際に肉眼で何かを見たりは?」
『そんなホラーみたいな話あるもんかよ。チクショー気が狂いそうだ……ッ、早く助けてくれ! 誠も死んだんだろッ? あいつと電話で話していたら、声が、声がひしゃげて……』
「ああ、なるほど。四番目の彼は、『確かに携帯電話を耳にあてていた』けど、直前までやりとりしていたのは、君だったのか」

 宮橋は思い出すような声色で言いながら、少年たちの顔写真と名前の載った資料を、小楠に指して示した。