そう思案して納得したはずなのに、不意に突然世界がぐんと広く感じた。自分がその中で、ぽつんと取り残されたような、生まれて初めての疎外感と心細さを覚えた。
 
 どうして、僕はここにいるんだろう。
 
 ふと、生きている事への強い疑問が込み上げて、広い孤独の荒野に取り残されたような恐怖に近いものを覚えた。そのタイミングで、午後四時過ぎの鐘の音が校舎中に響き渡って、一気に不安感が増して爆発しそうになった。

 智久は、自分の喉をかきむしって叫び散らしたい衝動に駆られた。心臓が不規則に脈打って、胸のあたりが絞られるように苦しくなって呼吸が詰まった。

 産まれ落ちた世界への違和感が、急速に強まって胸の辺りを圧迫した。この世界に『たった独り』生きている事が耐えられない、そんな強迫観念に襲われて、今すぐにでも自分を殺してしまいたくなった。
 
 空っぽだ。僕は、今、『空っぽ』なのだ。

 半ばパニック状態のようになって混乱し、両手で頭を抱えた。彼は叫びたい衝動を堪えて、あまりの苦しさに髪をむちゃくちゃにかき乱していた。もう耐えられそうになくなって、勢いのまま自分の喉に爪を立てて掻き毟ろうとした時――

 ストン、と胸にナニかが降りてきた。