つい隣の方の様子を窺ってみると、宮橋は一番目から三番目の被害者の写真をじっくり眺めていた。×記しの付いていない一重の面長の顔をした少年へと視線を移して、表情のないままなぞるようにして指先を滑らせる。
「――ああ、彼が四人目か」
振り返った一瞬後か、それは驚く間もなかっただろうね……ぼんやりとした調子で、そう口の中で呟きが落とされた気がした。
真由は、聞き返すように「え?」と顔を向けていた。ほんの少し遅れて三鬼が、顰め面で「それにしても、典型的な不良少年って感じだな」とやけに大きな声で言ったせいで、よく聞こえなかったからだ。
同じく用紙の一覧を目で追っていた藤堂は、気付いていない様子だった。三鬼が近くを通り過ぎようとしていた若手に、ペンを寄越せと手の仕草で伝える中、宮橋が目に留めた黒髪の少年の顔写真の名前を見て、物珍しそうに首を傾げる。
「これで『ヨタク』って読む苗字なんですね。初めて見ました」
「多くはないからね。本来の意味合いでは、今はほとんど失われてしまった苗字さ」
宮橋は、よく分からないという顔をする藤堂を見やって言葉を続けた。
「――ああ、彼が四人目か」
振り返った一瞬後か、それは驚く間もなかっただろうね……ぼんやりとした調子で、そう口の中で呟きが落とされた気がした。
真由は、聞き返すように「え?」と顔を向けていた。ほんの少し遅れて三鬼が、顰め面で「それにしても、典型的な不良少年って感じだな」とやけに大きな声で言ったせいで、よく聞こえなかったからだ。
同じく用紙の一覧を目で追っていた藤堂は、気付いていない様子だった。三鬼が近くを通り過ぎようとしていた若手に、ペンを寄越せと手の仕草で伝える中、宮橋が目に留めた黒髪の少年の顔写真の名前を見て、物珍しそうに首を傾げる。
「これで『ヨタク』って読む苗字なんですね。初めて見ました」
「多くはないからね。本来の意味合いでは、今はほとんど失われてしまった苗字さ」
宮橋は、よく分からないという顔をする藤堂を見やって言葉を続けた。