相変わらず自分ペースなやつめ、と小楠は口の中で言って、急きょ設けられたデスクの片隅で、電話のやりとりに追われていた小太りの男に目配せした。
察した彼が席を立ち、机から用紙をひったくってやってきて「こちらに、名前と顔写真が」と手短に告げ、足早に戻っていった。
「こいつらだ」
小楠は、宮橋が見えるようにそれをテーブルへ置いた。用紙には九人の顔写真と名前があり、顔写真のうち三つには大きく赤色の×印が付けられ、余白には「第四被害者、まだ未定」と走り書きされている。
真由は、金髪で細いつり目の少年の写真を見つけて「あ」と声を上げていた。けれどいかにも不良であるといった雰囲気を醸し出している少年たちの下に、宮橋が言っていた黒髪で大人しそうな少年の顔写真の箇所に『ヨタク』を見つけて驚いた。
彼の写真は、八人の少年たちより少し離されていた。中学時代から付き合いがあり、事件の直前にも彼らから呼び出しを受けていたのではないか、と推測されている少年で、名前の欄には『与魄智久』と印字されていた。
察した彼が席を立ち、机から用紙をひったくってやってきて「こちらに、名前と顔写真が」と手短に告げ、足早に戻っていった。
「こいつらだ」
小楠は、宮橋が見えるようにそれをテーブルへ置いた。用紙には九人の顔写真と名前があり、顔写真のうち三つには大きく赤色の×印が付けられ、余白には「第四被害者、まだ未定」と走り書きされている。
真由は、金髪で細いつり目の少年の写真を見つけて「あ」と声を上げていた。けれどいかにも不良であるといった雰囲気を醸し出している少年たちの下に、宮橋が言っていた黒髪で大人しそうな少年の顔写真の箇所に『ヨタク』を見つけて驚いた。
彼の写真は、八人の少年たちより少し離されていた。中学時代から付き合いがあり、事件の直前にも彼らから呼び出しを受けていたのではないか、と推測されている少年で、名前の欄には『与魄智久』と印字されていた。