「蒼慶様、本日はお世話になります、桃宮紗江子にございます。近いうちにある就任式には参加出来ませんので、少しお早い祝いの言葉を記載した手紙と、お祝いの品を先にお持ち致しました。明日の朝お渡し致しますので、どうか式の当日にお開けくださいませ」
「当主である父からも、その話は聞いている。わざわざご足労感謝する。それよりも、先程はアレが迷惑をかけたようで、済まなかった」
アレ、と名指しされた雪弥は、つい乾いた笑みを浮かべた。半ば諦めたような心境で進み出て、けれど迷惑を掛けた事については、しっかり反省して謝った。
「本当にすみませんでした……。僕よりも、桃宮様の方がびしょ濡れになってしまって、本当に申し訳ないです」
「いいえ、そんなに謝らないで。どちらにも水槽がぶつからなくて、良かったですわ」
桃宮婦人がそう言った時、その向こう側で動く人影があった。気付いた雪弥は、蒼慶と宵月と共に、ほぼ同時にそちらへと顔を向けていた。
「当主である父からも、その話は聞いている。わざわざご足労感謝する。それよりも、先程はアレが迷惑をかけたようで、済まなかった」
アレ、と名指しされた雪弥は、つい乾いた笑みを浮かべた。半ば諦めたような心境で進み出て、けれど迷惑を掛けた事については、しっかり反省して謝った。
「本当にすみませんでした……。僕よりも、桃宮様の方がびしょ濡れになってしまって、本当に申し訳ないです」
「いいえ、そんなに謝らないで。どちらにも水槽がぶつからなくて、良かったですわ」
桃宮婦人がそう言った時、その向こう側で動く人影があった。気付いた雪弥は、蒼慶と宵月と共に、ほぼ同時にそちらへと顔を向けていた。