経済発展を目的とした西大都市(にしおおとし)が、東京都や大阪府と並んだのは、二十世紀に入った頃からだ。それまでは、岐阜県と山梨県の間に位置している、という新しい都市としての名ばかりが知られていた。
高層ビル群や三ツ星ホテルが建つにしたがって、多くの企業がその土地を注目するようになった。価格が高騰する土地は次々に売買され、そして今の大都会へと変貌をとげたのだ。
西大都市の繁華街の隣に位置する大通りには、新しい市の誕生に合わせて、計画的に建てられた市の建物がいくつも存在していた。全国でも一、二、といわれる外観が美しい市役所や、最上階にカフェを設けた四階建ての市立図書館。
また、強い存在感をアピールするように、濃い灰色で四方を覆われた警察署やち、四階からガラス張りで隣に分館まで持った電力会社。公園と見間違うほどの広さを持った水道局は、緑と水場が目を引き、西洋の美術館をモチーフに作られた国立の分館ビルも目新しい。
国と県が所有する建物は、他にも点在しており『関係者以外立ち入り禁止』の看板を掲げている場所も多くある。各建物には、堅苦しい名前が記載され、身分証や許可証を確認する警備員や、建物まで距離がある門扉も設置されていた。
名を聞いてもぴんと来ない建物も多くある。大通りから中道に入ると「コンサルタント」やら「事務所」やらとつく小会社や、社員以外の出入りが見られない真新しい建物がいくつも立ち並んでいるのだ。
市役所と水道局を挟んだ通りもそうだった。そこには、他の建物に比べると殺風景とした外観と、無駄に広大な敷地を持っている建物がある。
太く長い黒鉄の門扉と、直立する強面の警備員のセットは、この通りではお馴染みの光景だ。敷地内を囲むように建つ高い塀は圧倒的で、約三メートル近い高さが四方を囲っている。
その建物の隣には、似たような塀に囲まれた裁判所が構えられているが、その塀は大理石に似た素材で造られているため品がある。双方の建物に向かい合うのは、堅苦しい雰囲気でそびえたつ議員会館と、税理事務所である。
さて、高い塀に囲まれたその建物だが、門扉近くには『国政機関』と記されてあった。門扉からは、だだっ広い駐車場が見え、その奥にほとんど窓のない黒真珠のような四角い建物がそびえ建っている。
実はそこは、国の高い役職に就いている者たちが畏怖するほど、多くの国家機密が詰められた場所だった。門扉に立つ警備員が、多くの給料をもらっている優秀な軍人だという事を知っているのは、この建物の本来の存在意味を知っている者達だけである。
とあるお偉い肩書きを持った男が、この建物を訪問した際、その警備員を見て慌てて頭を下げたという話は、付き人たちの間では有名だった。
高層ビル群や三ツ星ホテルが建つにしたがって、多くの企業がその土地を注目するようになった。価格が高騰する土地は次々に売買され、そして今の大都会へと変貌をとげたのだ。
西大都市の繁華街の隣に位置する大通りには、新しい市の誕生に合わせて、計画的に建てられた市の建物がいくつも存在していた。全国でも一、二、といわれる外観が美しい市役所や、最上階にカフェを設けた四階建ての市立図書館。
また、強い存在感をアピールするように、濃い灰色で四方を覆われた警察署やち、四階からガラス張りで隣に分館まで持った電力会社。公園と見間違うほどの広さを持った水道局は、緑と水場が目を引き、西洋の美術館をモチーフに作られた国立の分館ビルも目新しい。
国と県が所有する建物は、他にも点在しており『関係者以外立ち入り禁止』の看板を掲げている場所も多くある。各建物には、堅苦しい名前が記載され、身分証や許可証を確認する警備員や、建物まで距離がある門扉も設置されていた。
名を聞いてもぴんと来ない建物も多くある。大通りから中道に入ると「コンサルタント」やら「事務所」やらとつく小会社や、社員以外の出入りが見られない真新しい建物がいくつも立ち並んでいるのだ。
市役所と水道局を挟んだ通りもそうだった。そこには、他の建物に比べると殺風景とした外観と、無駄に広大な敷地を持っている建物がある。
太く長い黒鉄の門扉と、直立する強面の警備員のセットは、この通りではお馴染みの光景だ。敷地内を囲むように建つ高い塀は圧倒的で、約三メートル近い高さが四方を囲っている。
その建物の隣には、似たような塀に囲まれた裁判所が構えられているが、その塀は大理石に似た素材で造られているため品がある。双方の建物に向かい合うのは、堅苦しい雰囲気でそびえたつ議員会館と、税理事務所である。
さて、高い塀に囲まれたその建物だが、門扉近くには『国政機関』と記されてあった。門扉からは、だだっ広い駐車場が見え、その奥にほとんど窓のない黒真珠のような四角い建物がそびえ建っている。
実はそこは、国の高い役職に就いている者たちが畏怖するほど、多くの国家機密が詰められた場所だった。門扉に立つ警備員が、多くの給料をもらっている優秀な軍人だという事を知っているのは、この建物の本来の存在意味を知っている者達だけである。
とあるお偉い肩書きを持った男が、この建物を訪問した際、その警備員を見て慌てて頭を下げたという話は、付き人たちの間では有名だった。