勝手に喋って、とっとと帰ればいいのにと思った。こうして珍獣のごとく見られるのも居心地が悪い。彼らが動かないというのであれば、ここは自分の方が場所を移動してしまおうか。多分、その方が早い。
そう考えていた雪弥は、不意に、ある言葉が耳に飛び込んできて思考が止まった。
「蒼慶様の存在を脅かすのでは」
途端に男達の、ひそひそと続く声は耳障りな雑音と化して、脳裏にその言葉だけがリピートされる。
誰が発言したかも分からないのに、その言葉だけがやけに耳にこびりついて、背中から足元にかけて、すうっと体温が落ちていくのを感じた。
思考回路が硬直して、頭の中がほんの数秒ほど真っ白になっていた。動く事も出来なくなって、呼吸が浅くなり急速な息苦しさを覚える。
分かってる。そう想われている事くらい、はじめから知っているんだ。
自分は兄にとって、危険な存在には絶対なりはしないのに、こちらを良くは思っていない人間からはそう見える。昔から兄として尊敬していて、足を引っ張るなんてしたくないと強く思っているから、それは微塵にも誤解されたくない部分だった。
そう考えていた雪弥は、不意に、ある言葉が耳に飛び込んできて思考が止まった。
「蒼慶様の存在を脅かすのでは」
途端に男達の、ひそひそと続く声は耳障りな雑音と化して、脳裏にその言葉だけがリピートされる。
誰が発言したかも分からないのに、その言葉だけがやけに耳にこびりついて、背中から足元にかけて、すうっと体温が落ちていくのを感じた。
思考回路が硬直して、頭の中がほんの数秒ほど真っ白になっていた。動く事も出来なくなって、呼吸が浅くなり急速な息苦しさを覚える。
分かってる。そう想われている事くらい、はじめから知っているんだ。
自分は兄にとって、危険な存在には絶対なりはしないのに、こちらを良くは思っていない人間からはそう見える。昔から兄として尊敬していて、足を引っ張るなんてしたくないと強く思っているから、それは微塵にも誤解されたくない部分だった。