抱きつき癖のある亜希子と緋菜から、出来る限り自然と距離を置いていた。ここにいる自分はナンバー4ではなく、ただの訪問者であるという事を、常に言い聞かせて気を付けている。
配慮したり気を遣う事は、元々あまり得意ではなかった。疲労感を覚えた雪弥は、ソファの背に頭を乗せて、ぼんやりと高い天井を眺めた。
家族と楽しそうに交流を深めている様子を、まだ上の階にいるであろう分家の人間に、あまり見られたくない気持ちもあった。テニスコートは、書斎室や渡り廊下から見える位置にあるので、その声も様子も、蒼慶のいる場所には筒抜けなのだ。
亜希子と緋菜が出て行ってから、どのくらいの時間が過ぎただろうか。ひどく長いその静寂聞いた後、雪弥はとうとう背後に立つ男が無視出来なくなって、つい声を掛けていた。
「宵月さん、兄さんのそばにいなくていいんですか?」
「見張っていろと言われておりますので」
「直球かよ。やっぱり見張り役か」
ソファの後ろで、背後霊のように立っている宵月を思って、雪弥はソファに身を預けたまま舌打ちした。
配慮したり気を遣う事は、元々あまり得意ではなかった。疲労感を覚えた雪弥は、ソファの背に頭を乗せて、ぼんやりと高い天井を眺めた。
家族と楽しそうに交流を深めている様子を、まだ上の階にいるであろう分家の人間に、あまり見られたくない気持ちもあった。テニスコートは、書斎室や渡り廊下から見える位置にあるので、その声も様子も、蒼慶のいる場所には筒抜けなのだ。
亜希子と緋菜が出て行ってから、どのくらいの時間が過ぎただろうか。ひどく長いその静寂聞いた後、雪弥はとうとう背後に立つ男が無視出来なくなって、つい声を掛けていた。
「宵月さん、兄さんのそばにいなくていいんですか?」
「見張っていろと言われておりますので」
「直球かよ。やっぱり見張り役か」
ソファの後ろで、背後霊のように立っている宵月を思って、雪弥はソファに身を預けたまま舌打ちした。