蒼緋蔵家の家族と自分の生活が、たとえ交わる事ないとしても、こうして彼らの暮らしが穏やかに続けばいい。会えなくとも、時々連絡を受けて彼らが幸せなのが分かれば、それでいいのだ。

 問題が起これば、ナンバー4として蒼緋蔵家に加担するだけである。雪弥はそう考えて、それいいかも、と悠長にそんな事を思った。

 たとえ名字を返したとしても、大切な家族である事に変わりはない。蒼慶も以前からずっと、こちらの仕事については察しているようだし、ナンバー1とやりとりをするくらいの仲であるのなら、当主となる彼にその事を伝えればいい。

 そうすれば、彼もわざわざ、近くに自分を置こうとは思わないだろう。すぐにでも飛んで来て協力するからと言えば、きっと今回の件に関しても納得してくれる。

 すっきりしたような顔でケーキを食べ始めた雪弥は、先程の事へ興味が戻り、何か言いたそうな表情を浮かべた二人に気付かず「そういえば」と言って、宵月を振り返った。