この地下には、『ナンバー4』が関わった任務だけを集めた、地獄絵図のような光景が詰め込まれた資料が多々ある。青年がたった一人でやった悲惨な光景が記録されていて、先日あった『学園任務』も新たに加わえられていた。

「それでは、引き続き頼む」

 少し黙っていたナンバー1が、そう言って踵を返していった。先日送られてきた資料とその写真を思い出していた彼女は、小さく応えてから、眼鏡の下から目頭を押さえた。

 先日、この青年エージェントが担当した現場は、とある学園で、そこで撮られた写真はまるで地獄か戦場だった。数十人もの人間が『処分』されたらしいのだが、その光景はかなり悲惨で、吐いた新人もいたのだとは話に聞いた。


――おはよう、今日もよろしくお願いします。


 今日の朝、この階へ降りて来た際の『ナンバー4』の様子が思い出された。「ようやく休みをもらえまして」と語っていた笑顔は、嘘や社交辞令も苦手そうな、それでいて控えめな性格が滲むぎこちない笑いだった。