分家の男達の反応を見て、雪弥は変だなと思った。

 一体、何がどうなっているのか分からない。てっきり分家の彼らは、こちらの提案を喜んで押してくるだろうとばかり思っていたから、まるで引き留めなければ、と困惑しているような様子には、強い疑問を覚えてしまう。

「そうです。それが、僕の答えだ」

 雪弥は、ハッキリとそう返した。面と向かって口にするとスッキリしてしまい、ふと、兄の書斎机の右手の窓の向こうに鳥がいる事に気付いて、興味がそちらに移ってしまう。

 鳥って、どこまでも自由そうでいいよなぁ……。

 この場と全く関係ない事を考えていると勘付いて、蒼慶の眉間に、こいつは相変わらず、と言うような更に深い皺が刻まれた。鳥がゆっくりと空を飛び去っていった後で、雪弥はそれに気付いて、あ、まずい、と思った。

「――出て行け」

 目が合った直後、蒼慶が冷たく言い放った。

 恐らく正論だったから、受理するつもりなんだろう。そう思った雪弥は、問題解決とばかりに肩を竦めて、「はいはい」と呟きながら踵を返した。