簡単に言えば、与えられている家名を、母方の名字に変える提案だった。そうすれば、形上は完全なよそ者になるため、一族に関わる『役職』に組み入れられる権利を失う。
この場の空気や、考えて口にした自分の発言にも疲れてしまい、雪弥は緊張し続けるのも面倒になって、肩から力を抜いた。ソファに座っていた男達が、ぎょっとしたように目を見張るのを見て、何を今更、と訝ってしまう。
自分が『蒼緋蔵』という家名を与えられている事に関しては、分家の人間がずっと撤回を求めてきた事だった。母の葬儀の日にも、彼らはわざわざその話をしにやってきたくらいなのだ。なのになんで、まさか、という顔をするのだろうか?
そう考えたところで、ふと、突き刺さる殺意を感じてギクリとした。恐る恐る兄へと視線を戻してみると、蒼慶の顔には、睨みつけるような厳しい表情が浮かんでいる。
目が合っても、彼は珍しく黙ったままでいた。図太い神経も持ち合せている雪弥は、それを良いように解釈すると、説得を続ける事にして「何度も言っていますけど」と改めて切り出した。
この場の空気や、考えて口にした自分の発言にも疲れてしまい、雪弥は緊張し続けるのも面倒になって、肩から力を抜いた。ソファに座っていた男達が、ぎょっとしたように目を見張るのを見て、何を今更、と訝ってしまう。
自分が『蒼緋蔵』という家名を与えられている事に関しては、分家の人間がずっと撤回を求めてきた事だった。母の葬儀の日にも、彼らはわざわざその話をしにやってきたくらいなのだ。なのになんで、まさか、という顔をするのだろうか?
そう考えたところで、ふと、突き刺さる殺意を感じてギクリとした。恐る恐る兄へと視線を戻してみると、蒼慶の顔には、睨みつけるような厳しい表情が浮かんでいる。
目が合っても、彼は珍しく黙ったままでいた。図太い神経も持ち合せている雪弥は、それを良いように解釈すると、説得を続ける事にして「何度も言っていますけど」と改めて切り出した。