「そばで兄さん達を支えられたら、とは思うけれど、僕は兄さんのそばにいられない。あなたは『右腕としてそばにいろ』というけれど、これが普段から僕がやっている『仕事』だ…………アリスも傷つけたくなかった、敵じゃなければと願った。それのなに、同時に殺したくて仕方がなかったよ」

 雪弥は白状して、力なく視線を動かした。

 転がった紗江子の首を見つめて、泣き方も分からない子供のような表情を浮かべた。彼女の苦痛な最期の表情を眺めていると、まるで母が遠い記憶の向こうから、今の自分を非難しているようにも思えた。

「だから僕には、あなたの右腕になるのは無理なんです。……僕には『ナンバー』の仕事がお似合いで、きっと、それ以外を選べないんだ」

 雪弥はポツリと言うと、一度も蒼慶を振り返る事なく地下を出ていった。