バックステップで回避する雪弥の口元が、落ち着き始めた土埃の向こうに獲物を真っ直ぐ捉えて、不意に笑んだ。何度目かの攻撃をかわした直後、地面すれすれに身を屈めたかと思うと、足場を踏み砕く衝撃音を上げて急発進する。
「調子に乗ってんじゃねぇぞクソが!」
よろりと立ち上がったアリスが、血の混じった唾を吐き捨てながら吠え、両手を地面に突き刺した。地中を伝った枝が、二人の間を遮るようにして一斉に吹き出し、太さを増して密集した幹の壁と化したが、それは一瞬にして切り裂かれていた。
彼女が対応するよりも数倍速く、凍てつくような殺気を帯びた光る碧眼が浮かび上がり、目にも止まらぬ速さで白銀の爪が振るわれた。
ドッ――と嫌な音が上がった。地面に手を残した彼女が、分断された両腕を振り乱して血を撒き散らしながら、咆哮の如く絶叫を上げて空気を震わせた。
「俺のッ、俺の『身体』の両手首がねぇよおおおおおおおお!」
その直後、悲鳴が途切れて「あ?」という間の抜けた声に変わった。
「調子に乗ってんじゃねぇぞクソが!」
よろりと立ち上がったアリスが、血の混じった唾を吐き捨てながら吠え、両手を地面に突き刺した。地中を伝った枝が、二人の間を遮るようにして一斉に吹き出し、太さを増して密集した幹の壁と化したが、それは一瞬にして切り裂かれていた。
彼女が対応するよりも数倍速く、凍てつくような殺気を帯びた光る碧眼が浮かび上がり、目にも止まらぬ速さで白銀の爪が振るわれた。
ドッ――と嫌な音が上がった。地面に手を残した彼女が、分断された両腕を振り乱して血を撒き散らしながら、咆哮の如く絶叫を上げて空気を震わせた。
「俺のッ、俺の『身体』の両手首がねぇよおおおおおおおお!」
その直後、悲鳴が途切れて「あ?」という間の抜けた声に変わった。