銃弾は、太くなった幹に対しては、表面に少し傷を入れただけだった。どうやら、あれくらいの太さになると、この程度の飛び道具では効果が薄いらしい。
そうチラリと目を寄越して確認した雪弥は、一旦体勢を整えるべく、襲いかかって来た丈夫な枝を踏み台にした。そのまま放物線を描いて、巨大な柱の中腹まで飛ぶと、足を付けたところで敵の現在の位置へ目を向ける。
「そこで止まるなよ番犬! もっと反撃して来ないと、面白くねぇだろが!」
カチリと視線が合ったアリスが、ギラギラと嗤ってそう吠えた。蠢きながら伸び続けていた枝が、その足元に一時引き返すようにして膨れ上がった一瞬後――
息も吐けない攻防を注視していた蒼慶達の視界から、風圧で砕かれた地面を残して、彼女の姿が消えていた。ロケットが発射されたような爆音を起こしたアリスが、柱目掛けて一直線に飛び出したのだ。
スカートが捲れて太腿まで露わになっているのも構わず、金髪を振り乱しながらこちらに迫ってくる少女の姿を見て、雪弥はそっと表情を歪めた。
そこに浮かんだのは、向けられている殺意に対抗するような厳しさではなく、どこか静けさを漂わせた悲しさだった。
そうチラリと目を寄越して確認した雪弥は、一旦体勢を整えるべく、襲いかかって来た丈夫な枝を踏み台にした。そのまま放物線を描いて、巨大な柱の中腹まで飛ぶと、足を付けたところで敵の現在の位置へ目を向ける。
「そこで止まるなよ番犬! もっと反撃して来ないと、面白くねぇだろが!」
カチリと視線が合ったアリスが、ギラギラと嗤ってそう吠えた。蠢きながら伸び続けていた枝が、その足元に一時引き返すようにして膨れ上がった一瞬後――
息も吐けない攻防を注視していた蒼慶達の視界から、風圧で砕かれた地面を残して、彼女の姿が消えていた。ロケットが発射されたような爆音を起こしたアリスが、柱目掛けて一直線に飛び出したのだ。
スカートが捲れて太腿まで露わになっているのも構わず、金髪を振り乱しながらこちらに迫ってくる少女の姿を見て、雪弥はそっと表情を歪めた。
そこに浮かんだのは、向けられている殺意に対抗するような厳しさではなく、どこか静けさを漂わせた悲しさだった。