「これじゃ、ほんとに埒があかないな……」

 敵の攻撃の動きを観察しつつ、そう口の中に呟きを落とした。銃を持っていない手で着地すると同時に、更に身体を跳躍させて宙を舞う。

 雪弥は、上昇が止んだタイミングで、空中で体勢を整えるように身体を半回転させて、襲い来る枝を蹴り技で薙ぎ折った。壊れた枝は再生しない。けれど成長によって伸び続ける仕様らしい事を確認しながら、間を置かずに第二撃、第三撃を放って足で叩き潰す。

 次々に打ち込む攻撃の反動で、上空へと身体を持ち上げた。枝を踏み台にして身をそらした際、銃を持っていない方の手を伸ばして幹の部分を粉砕し、落下の力を利用して枝の分岐点を足で木端微塵に潰してみたが、相手側の攻撃速度に変化は見られなかった。

 植物の『成長』というのは、もしかしたら『再生』よりも厄介であるのかもしれない。

 そう考えながら、雪弥は背後に迫った攻撃を反射的に捉え、身体を素早く反転させた一瞬で、銃を構えた。目前に迫った複数の鋭い枝先に向かって、続けて素早く銃弾を撃ち込んで潰すと、ついでに遠くの太い幹に狙いを定めて撃ってみた。