「ただの銃で受け止められちゃった。しかも壊れないんだけど、妙な加工でもしてんの?」
「……少しばかり頑丈仕様でね。その手こそ、どうしたの」
「これが『本来の俺の一部』だよ。たった一撃でも、なかなか重いだろ?」

 そう言いながら、アリスが止められた手をそのままに、残っていた方の手も繰り出してきた。雪弥は身体を反らせてそれを避けると、一旦体勢を構えなおすように後退した。

 変異した彼女の指は、やはり木の枝か幹のようだった。伸び方に法則性がなく、太さも不揃いで、威力に関しては木と思えない。チラリと確認してみると、特別加工されている銃は、一発目の攻撃を防いだ際に小さな亀裂が入ってしまっていた。

 その時、アリスの指となっている枝が急速に成長し、地面を激しく打ってバウンドした。生きているように上がったかと思うと、いびつな線を描いて頭上から突き刺すように落ちてくる。

 それを察知してすぐ、雪弥は一瞬で後方へと跳躍していた。地面にバウンドしながら、こちらへと伸てくる枝を後退しながら右へ左へと避ける。一度高く跳躍し、身体をひねりながら弧を描いて連続した攻撃をかわしたものの、追ってくる速度と距離は縮まらない。