アリスが重心を低く落として、腕を両脇へと向けて交差させた。見覚えのない変わった戦闘態勢だ。そう考えて見つめていたら、視線を返してきた彼女がニィっと嗤った。
「全員殺す――まずは、お前からだ」
言葉が上がると同時に、アリスの両腕の先から、爪とは別の鋭い凶器が突出していた。
彼女の腕の先から現れた『長い無数のソレ』が、一体なんであるのか、視認する暇はなかった。
途端にアリスが、立っていた地面を砕く力で前方へ飛び出してきた。打ちつけるような風圧をまとい、身を低く屈めたまま突進して雪弥に向かう。
「雪弥!」
「蒼慶様いけませんッ!」
目にも止まらぬ急発進を見て、飛び出しかけた蒼慶を宵月が制した。その直後、雪弥は自分の顔に一点集中で向かってきた『凶器』の先を、咄嗟に銃身で受け止めていた。
アリスの指先は、人間の手の姿を失って茶色く硬化していた。先端を鋭く尖らせた枝をはやし、それは一本一本が生きているかのように伸縮自在で、枝先は更に分岐して大きく伸び広がっている。
こちらの顔面を貫けなかった彼女が、可笑しそうに顔を歪めて「あれぇ?」と言う。
「全員殺す――まずは、お前からだ」
言葉が上がると同時に、アリスの両腕の先から、爪とは別の鋭い凶器が突出していた。
彼女の腕の先から現れた『長い無数のソレ』が、一体なんであるのか、視認する暇はなかった。
途端にアリスが、立っていた地面を砕く力で前方へ飛び出してきた。打ちつけるような風圧をまとい、身を低く屈めたまま突進して雪弥に向かう。
「雪弥!」
「蒼慶様いけませんッ!」
目にも止まらぬ急発進を見て、飛び出しかけた蒼慶を宵月が制した。その直後、雪弥は自分の顔に一点集中で向かってきた『凶器』の先を、咄嗟に銃身で受け止めていた。
アリスの指先は、人間の手の姿を失って茶色く硬化していた。先端を鋭く尖らせた枝をはやし、それは一本一本が生きているかのように伸縮自在で、枝先は更に分岐して大きく伸び広がっている。
こちらの顔面を貫けなかった彼女が、可笑しそうに顔を歪めて「あれぇ?」と言う。