話の内容はよく理解出来なかった。ただ、敵である事だけは明確で、雪弥はアリスがぴたりと動きを止めた様子を見て、余計な考えを頭の中から締め出した。
「僕は、兄さんたちを守るよ」
だから、唯一ハッキリと分かっている自分の想いを口にして身構えた。
その時、アリスがその呟きに反応したかのように、勢いよく首の位置を戻した。小さな両手をだらしなく下げたまま、見開かれた赤い瞳をぎょろりと雪弥に向けたかと思うと、喉の奥でくぐもった笑い声を上げる。
「『兄さん』だって? それに『守る』?」
アリスの唇から、先程とは違う少年の声がした。紗江子が微笑したまま後退する中、その身体がぐらりと揺れて、支えるように広げられた足が、品もなく一歩前へと歩み出される。
警戒している蒼慶と宵月には目もくれず、アリスが金髪を揺らして、まじまじと雪弥を観察した。不意に、牙を覗かせてひどく顔を歪めて笑い出す。
「おいおい、冗談はよしてくれよ『番犬』。あんた、また不完全なのか? あん時、容赦なく俺を殺した頃のあんたと殺り合いたいってのに、なかなか『再会』出来ないなぁ」
「僕は、兄さんたちを守るよ」
だから、唯一ハッキリと分かっている自分の想いを口にして身構えた。
その時、アリスがその呟きに反応したかのように、勢いよく首の位置を戻した。小さな両手をだらしなく下げたまま、見開かれた赤い瞳をぎょろりと雪弥に向けたかと思うと、喉の奥でくぐもった笑い声を上げる。
「『兄さん』だって? それに『守る』?」
アリスの唇から、先程とは違う少年の声がした。紗江子が微笑したまま後退する中、その身体がぐらりと揺れて、支えるように広げられた足が、品もなく一歩前へと歩み出される。
警戒している蒼慶と宵月には目もくれず、アリスが金髪を揺らして、まじまじと雪弥を観察した。不意に、牙を覗かせてひどく顔を歪めて笑い出す。
「おいおい、冗談はよしてくれよ『番犬』。あんた、また不完全なのか? あん時、容赦なく俺を殺した頃のあんたと殺り合いたいってのに、なかなか『再会』出来ないなぁ」