蒼慶の時とは違って、桃宮が少し冷静さを取り戻した様子で、くしゃりと表情を悲痛に歪めた。まるで強く同情するみたいな目を向けられて、雪弥は不思議に思う。
「君を巻き込んでしまって、本当に申し訳ないと思っている。まさか『こんなタイミングで』いるとは思わなかったんだよ。だって君は、ここへはもう二度と訪れる事はないとばかり……大きくなったんだね、目元が更に紗奈恵さんに似ていて、驚いたよ」
ああ、母さんを知っているのか、と察して雪弥は口をつぐんでしまった。自分はいつ会ったのかも覚えていないというのに、彼は亡くなった母の子だと、ずっと記憶してくれていて、だからこちらに対して容赦になれない部分もあるらしい、と理解した。
そう考えていたら、桃宮が「私は、その恋を応援していた一人だったんだ」と続けた。
「蒼緋蔵家の分家のほとんどは、反対していた。その中で、私のようにこっそり応援して、当主に協力していたメンバーも確かにいたんだ。私も何度か、君たち親子を見掛けて、実際に彼女とも話して……」
それなのに私は、と桃宮が自身の持つ銃に目を向けて、ぶるぶると震えた。
「君を巻き込んでしまって、本当に申し訳ないと思っている。まさか『こんなタイミングで』いるとは思わなかったんだよ。だって君は、ここへはもう二度と訪れる事はないとばかり……大きくなったんだね、目元が更に紗奈恵さんに似ていて、驚いたよ」
ああ、母さんを知っているのか、と察して雪弥は口をつぐんでしまった。自分はいつ会ったのかも覚えていないというのに、彼は亡くなった母の子だと、ずっと記憶してくれていて、だからこちらに対して容赦になれない部分もあるらしい、と理解した。
そう考えていたら、桃宮が「私は、その恋を応援していた一人だったんだ」と続けた。
「蒼緋蔵家の分家のほとんどは、反対していた。その中で、私のようにこっそり応援して、当主に協力していたメンバーも確かにいたんだ。私も何度か、君たち親子を見掛けて、実際に彼女とも話して……」
それなのに私は、と桃宮が自身の持つ銃に目を向けて、ぶるぶると震えた。