「うん、言い忘れていてごめん。二年ぶりですね、お元気そうで何よりです」
「相変わらずな棒読み、お見事でございますね。二年という歳月の長さが、どれほどのものであるのか、どうやら貴方様には、よく分かっていないようですね」
どうしてか、呆れられたような短い溜息を吐かれてしまった。雪弥は質問を投げかけようとしたのだが、突然車が加速したせいで「うわっ」と、声を上げてシートに背中を当てていた。運転席から、「失礼致しました」と上辺だけ丁寧な言葉が上がった。
緑の自然ばかりが続く道を、速度を上げた高級車がひたすら進み続ける。
長い沈黙の中、雪弥は流れて行く景色をしばらく眺めていた。再び、バックミラー越しに宵月がこちらを見つめてくる視線に気付いて、目を向けて問うた。
「宵月さん、なんですか?」
「髪、染められましたか」
宵月が視線を正面に戻しながら、そう言う。
抑揚のない質問の言葉を聞いて、雪弥はきょとんとした表情を浮かべた。しばらくして、ようやくその質問の意味が理解出来て、視線をゆっくりと自分の前髪へと向ける。
「相変わらずな棒読み、お見事でございますね。二年という歳月の長さが、どれほどのものであるのか、どうやら貴方様には、よく分かっていないようですね」
どうしてか、呆れられたような短い溜息を吐かれてしまった。雪弥は質問を投げかけようとしたのだが、突然車が加速したせいで「うわっ」と、声を上げてシートに背中を当てていた。運転席から、「失礼致しました」と上辺だけ丁寧な言葉が上がった。
緑の自然ばかりが続く道を、速度を上げた高級車がひたすら進み続ける。
長い沈黙の中、雪弥は流れて行く景色をしばらく眺めていた。再び、バックミラー越しに宵月がこちらを見つめてくる視線に気付いて、目を向けて問うた。
「宵月さん、なんですか?」
「髪、染められましたか」
宵月が視線を正面に戻しながら、そう言う。
抑揚のない質問の言葉を聞いて、雪弥はきょとんとした表情を浮かべた。しばらくして、ようやくその質問の意味が理解出来て、視線をゆっくりと自分の前髪へと向ける。