雪弥は、そちらへと目を凝らした。瞳孔が一気に開き、カラーコンタクトで黒くされた虹彩が、淡い蒼の光りを帯びる。
「本がある」
それを肉眼で確認して、雪弥はそう告げた。
高すぎる天井まで伸びる巨大な柱の列の先に、石の祭壇のようなものがあった。灰色混じった岩石のようなものが三つ重ねられ、その上部に細い石板に立てかけられるようにして、一冊の古い本が置かれている。
それは、見慣れた本の倍以上の大きさがあった。手作り感があって厚みもかなりあり、とんでもなく色褪せて角が擦り切れてしまっている。
蒼慶が、視認出来ない様子で目を凝らした。
「話に聞いていた祭壇は見えるが、そこに本もあるのか? 全然見えないぞ」
「蒼慶様、通常の視力では、少し見え辛いかもしれません。訓練されているわたくしでも、ギリギリ本のように見えるという程度です――雪弥様、本で間違いありませんか?」
「うん。本にしてはかなり大型版だし、重ねられている紙も黄ばんでいて大きさは均等じゃないっぽいけど、角が金具で保護されていて、帯の部分もしっかりしているよ」
そこまで確認出来るとは驚きです、と宵月が淡々と言う。雪弥は、その呟きを聞き流すと、いちおう確認するべく尋ねてみた。
「本がある」
それを肉眼で確認して、雪弥はそう告げた。
高すぎる天井まで伸びる巨大な柱の列の先に、石の祭壇のようなものがあった。灰色混じった岩石のようなものが三つ重ねられ、その上部に細い石板に立てかけられるようにして、一冊の古い本が置かれている。
それは、見慣れた本の倍以上の大きさがあった。手作り感があって厚みもかなりあり、とんでもなく色褪せて角が擦り切れてしまっている。
蒼慶が、視認出来ない様子で目を凝らした。
「話に聞いていた祭壇は見えるが、そこに本もあるのか? 全然見えないぞ」
「蒼慶様、通常の視力では、少し見え辛いかもしれません。訓練されているわたくしでも、ギリギリ本のように見えるという程度です――雪弥様、本で間違いありませんか?」
「うん。本にしてはかなり大型版だし、重ねられている紙も黄ばんでいて大きさは均等じゃないっぽいけど、角が金具で保護されていて、帯の部分もしっかりしているよ」
そこまで確認出来るとは驚きです、と宵月が淡々と言う。雪弥は、その呟きを聞き流すと、いちおう確認するべく尋ねてみた。