簡単に言えば、『番犬』というのは隠語みたいなものなのだろうか。
言葉の関連性をざっくり理解したところで、雪弥は途端に自分のテンションが沈んでいくのを感じた。見ず知らずの通りすがりに『番犬候補』――つまり副当主候補として勝手に見られたあげく、『当主の影』と闘ってみないかと言われて、とばっちりを受けた事が思い出された。
多分、『当主の影』というのも、先程兄が語ったようにどの一族が使っているのか分かるキーワードなのだろう。けれど、それをこの場で尋ねる気持ちはなかった。新聞であの男だろうと推測される『夜蜘羅』という名前は、既にチェックしていたせいでもある。
「つまり『番犬』って、ウチの副当主を示す言葉だったわけですか……。いや、まぁ、本家の長男以外の男子だった場合に、そんな呼ばれ方をしていた時代もあったという感じかなとは理解しましたけど」
でもなぁ、と雪弥は残念感がとまらないまま、吐息混じりに間の抜けた声でこう続けていた。
言葉の関連性をざっくり理解したところで、雪弥は途端に自分のテンションが沈んでいくのを感じた。見ず知らずの通りすがりに『番犬候補』――つまり副当主候補として勝手に見られたあげく、『当主の影』と闘ってみないかと言われて、とばっちりを受けた事が思い出された。
多分、『当主の影』というのも、先程兄が語ったようにどの一族が使っているのか分かるキーワードなのだろう。けれど、それをこの場で尋ねる気持ちはなかった。新聞であの男だろうと推測される『夜蜘羅』という名前は、既にチェックしていたせいでもある。
「つまり『番犬』って、ウチの副当主を示す言葉だったわけですか……。いや、まぁ、本家の長男以外の男子だった場合に、そんな呼ばれ方をしていた時代もあったという感じかなとは理解しましたけど」
でもなぁ、と雪弥は残念感がとまらないまま、吐息混じりに間の抜けた声でこう続けていた。