「就く『役職』によっても重要な存在意味があり、そして代々受け継がれている一族の習わしや決まりにも、逆らってはいけないと彼らは考えているのです。それを破れば、災厄が降りかかると恐れている者もいる」
夜に爪を切ってはいけないだとか、そういうレベルの迷信みたいなものだろうか、と雪弥は話を聞きながら考えていた。
そもそも、余所から見れば本妻の子ではないのだ。名前については、自分の名に『蒼』の字が入っていなくて良かったようにも思える。
「まぁ、周りが勝手に騒ぎ立てる事を考えると、母さんが僕に『蒼』の字を入れたくないと考えても、おかしくはないと思うんですけどね」
「それが紗奈恵さんの『本当の理由』だったのかは知らん。父上が言うには、相談されたのは蒼緋蔵家の風習を教える前だったらしいからな。――そして、私達の一族で二番目に重視されている『副当主』だが」
話を戻すように、蒼慶がそう言いながら肩越しに雪弥を見やる。
夜に爪を切ってはいけないだとか、そういうレベルの迷信みたいなものだろうか、と雪弥は話を聞きながら考えていた。
そもそも、余所から見れば本妻の子ではないのだ。名前については、自分の名に『蒼』の字が入っていなくて良かったようにも思える。
「まぁ、周りが勝手に騒ぎ立てる事を考えると、母さんが僕に『蒼』の字を入れたくないと考えても、おかしくはないと思うんですけどね」
「それが紗奈恵さんの『本当の理由』だったのかは知らん。父上が言うには、相談されたのは蒼緋蔵家の風習を教える前だったらしいからな。――そして、私達の一族で二番目に重視されている『副当主』だが」
話を戻すように、蒼慶がそう言いながら肩越しに雪弥を見やる。