ざわりと殺気立った気配を察知した宵月が、一つ頷いて「確かに『遊んでいるよう』でもありますな」と相槌を打った。立ち上がる彼に、無表情のまま冷静な眼差しを向けて、こう続ける。
「雪弥様、落ち着いてくださいませ」
「僕は落ち着いているよ、宵月。――だから『それ』は、お前の勝手な憶測だ」
同じく冷静な表情ながらも、当然のような口調でそう語りながら、雪弥の高圧的な眼差しが宵月へと向いた。軽く手ぶりを交えて話す様子は、次期当主の弟として、蒼緋蔵本家ナンバー2の立場にいるに相応しい物言いと雰囲気だった。
「僕が勝手に『処分』にかかるわけがないだろう。兄の命令に従う」
雪弥は、誰もいない方へチラリと流し目を向けた。スーツの袖口を整えながら、興味もなさそうに「そもそも」と独り言のように続ける。
「お前に僕への命令権はないはずだが、立場を忘れたのか、宵月。実際の戦闘になったら、こちらの指示に従ってもらう」
「承知しております。気分を害されたのでしたら、申し訳ございません」
宵月がそう答えた時、携帯電話をしまった蒼慶が雪弥へと向き直った。
「雪弥様、落ち着いてくださいませ」
「僕は落ち着いているよ、宵月。――だから『それ』は、お前の勝手な憶測だ」
同じく冷静な表情ながらも、当然のような口調でそう語りながら、雪弥の高圧的な眼差しが宵月へと向いた。軽く手ぶりを交えて話す様子は、次期当主の弟として、蒼緋蔵本家ナンバー2の立場にいるに相応しい物言いと雰囲気だった。
「僕が勝手に『処分』にかかるわけがないだろう。兄の命令に従う」
雪弥は、誰もいない方へチラリと流し目を向けた。スーツの袖口を整えながら、興味もなさそうに「そもそも」と独り言のように続ける。
「お前に僕への命令権はないはずだが、立場を忘れたのか、宵月。実際の戦闘になったら、こちらの指示に従ってもらう」
「承知しております。気分を害されたのでしたら、申し訳ございません」
宵月がそう答えた時、携帯電話をしまった蒼慶が雪弥へと向き直った。