飲み仲間である彼女がいなくなってから、亜樹子は黙って酒を飲み続けていた。桃宮勝昭が、妻の紗江子と入れ違うようにして戻ってきた頃、お告げか何かしらの電波かでも拾ったような表情で、唐突に立ち上がって真面目にこう宣言した。
「寝てくる。じゃ、おやすみ」
凛々しい表情で、亜希子がキッパリとそう告げて寝室へと向かい始めた。食後の珈琲をゆっくり味わっていた蒼慶が、かなり飲んでいた事を考慮して「おい」と呼び止める。
「宵月を貸そうか?」
「いらないわよ。というか、可愛くもない顔面に見送られてベッドに入るとか、イヤ」
その会話を聞いていた桃宮が、珈琲カップを持ち上げた姿勢のまま、チラリと当執事の様子を見やる。
「さすがは奥様。蒼慶様と同じく、容赦がありませんね」
そう口の中で呟いた宵月は、相変わらずの無表情だった。
亜希子は、その声を完全に無視していた。くるりとこちらを振り返ると、に~っこりと笑って「雪弥君、おやすみ!」と元気たっぷりに言う。
「寝てくる。じゃ、おやすみ」
凛々しい表情で、亜希子がキッパリとそう告げて寝室へと向かい始めた。食後の珈琲をゆっくり味わっていた蒼慶が、かなり飲んでいた事を考慮して「おい」と呼び止める。
「宵月を貸そうか?」
「いらないわよ。というか、可愛くもない顔面に見送られてベッドに入るとか、イヤ」
その会話を聞いていた桃宮が、珈琲カップを持ち上げた姿勢のまま、チラリと当執事の様子を見やる。
「さすがは奥様。蒼慶様と同じく、容赦がありませんね」
そう口の中で呟いた宵月は、相変わらずの無表情だった。
亜希子は、その声を完全に無視していた。くるりとこちらを振り返ると、に~っこりと笑って「雪弥君、おやすみ!」と元気たっぷりに言う。