「雪弥様、箸にいた食べ物が逃げましたよ」
後ろに立っていた宵月に、そう言われて我に返った。更にテンションが上がって、女同士のお喋りに没頭する陽気な亜希子に目を向けつつ、ついこっそり尋ねる。
「あのさ、いつもこうなの……? そもそも、お酒飲むイメージがなかったんだけど」
「子供が小さいうちは、見える範囲で飲酒はしない、とおっしゃっておりました」
「とはいえ、パーティーに行くと、いつもあんな感じだったぞ」
それぞれ、宵月と蒼慶がそう述べる。
雪弥は思わず、父がパーティー会場で、彼女を心配して面倒を見ている姿を思い浮かべた。蒼慶が皿に乗った料理へと目を戻して、油が照ったハーブたっぷりのチキンにナイフを入れる。
「当主は、やはり遅いお帰りになりますか?」
しばらく経った頃、紗江子がそう言った。
ゆっくり黙々と食べ進めていた雪弥は、ふと、小さな違和感が込み上げて顔を上げた。蒼慶がちらりと彼女を見つめ返す中、桃宮が妻と違ってどこかほっとしたような表情を浮かべて、口を開く。
後ろに立っていた宵月に、そう言われて我に返った。更にテンションが上がって、女同士のお喋りに没頭する陽気な亜希子に目を向けつつ、ついこっそり尋ねる。
「あのさ、いつもこうなの……? そもそも、お酒飲むイメージがなかったんだけど」
「子供が小さいうちは、見える範囲で飲酒はしない、とおっしゃっておりました」
「とはいえ、パーティーに行くと、いつもあんな感じだったぞ」
それぞれ、宵月と蒼慶がそう述べる。
雪弥は思わず、父がパーティー会場で、彼女を心配して面倒を見ている姿を思い浮かべた。蒼慶が皿に乗った料理へと目を戻して、油が照ったハーブたっぷりのチキンにナイフを入れる。
「当主は、やはり遅いお帰りになりますか?」
しばらく経った頃、紗江子がそう言った。
ゆっくり黙々と食べ進めていた雪弥は、ふと、小さな違和感が込み上げて顔を上げた。蒼慶がちらりと彼女を見つめ返す中、桃宮が妻と違ってどこかほっとしたような表情を浮かべて、口を開く。