「お母様、少し飲みすぎじゃない?」
「何言ってるのよ、まだ飲んだうちに入らないわよ」
食事が始まって二十分足らず、何本目のボトルかも分からないワインが注がれたグラスを、そう言いながら亜希子が口にした。
「紗江子さん、日本酒はどうかしら?」
「あら、いいですわねぇ。私も、こう見えてとても好きなんですのよ」
「よっしゃ、なら決まりね!」
そう答えるなり、亜樹子がすぐ給仕に声を掛けて、次は日本酒を持ってくるように頼んだ。日本酒のセットが届くと紗江子に勧めつつも、「やっぱりコレよねぇ!」と軽快に飲んで、あっという間にボトルの半分を胃に収めてしまう。
蒼慶が「またか」と心底呆れた眼差しを向ける隣で、雪弥は初めて見る光景を前に、思わず食事の手が止まってしまっていた。驚きと呆れと感心が入り混じった表情を浮かべたまま、箸で持っていた肉切れが皿に落ちるのも気付かず、続けてロックで日本酒を仰ぐ亜希子を見つめる。
「何言ってるのよ、まだ飲んだうちに入らないわよ」
食事が始まって二十分足らず、何本目のボトルかも分からないワインが注がれたグラスを、そう言いながら亜希子が口にした。
「紗江子さん、日本酒はどうかしら?」
「あら、いいですわねぇ。私も、こう見えてとても好きなんですのよ」
「よっしゃ、なら決まりね!」
そう答えるなり、亜樹子がすぐ給仕に声を掛けて、次は日本酒を持ってくるように頼んだ。日本酒のセットが届くと紗江子に勧めつつも、「やっぱりコレよねぇ!」と軽快に飲んで、あっという間にボトルの半分を胃に収めてしまう。
蒼慶が「またか」と心底呆れた眼差しを向ける隣で、雪弥は初めて見る光景を前に、思わず食事の手が止まってしまっていた。驚きと呆れと感心が入り混じった表情を浮かべたまま、箸で持っていた肉切れが皿に落ちるのも気付かず、続けてロックで日本酒を仰ぐ亜希子を見つめる。