話している間に階段を降り、夜には夕食が用意される大部屋に到着してしまっていた。そこにあった長テーブルには亜希子達が腰かけていて、こちらに気付くなり、にこやかに手を振ってきた。

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 二家による和やかなお喋りが続いた後、夕刻には夕食の用意が整えられた。

 蒼緋蔵家の夜のテーブルの上も、一流ホテルのディナーのように随分と豪華だった。やはり、人数分以上の料理が山のように並べられている。

 本家の専属シェフ達が、給仕と共に行き交う様子は、普段の家庭の食卓にはない光景だ。おかげで食事が始まってしばらくの間、雪弥はつい遅く咀嚼しながら、テキパキと仕事をこなす彼らの姿を目で追ってしまっていた。

 紗江子とすっかり親しくなったらしい亜希子は、隣同士の席に腰かけて、料理を楽しみながらどんどんワインを口にしていた。桃宮勝昭が苦笑で見守る向かいには、アリスと楽しげに話す緋菜がおり、時々心配そうな表情で母の様子を窺っている。