雪弥は、独り言のような声を聞いて、視線を上げた。珍しく難しい表情をテーブルへ向けている兄に気付いた途端、彼にも分からない答えを、自分が一方的に求めるのは間違いだと感じ、頭の中にぐるぐると回っていた疑問の波が半ば鎮まった。
自分が、兄を困らせてはいけない。
その悩みを『自分こそ』が深くさせるわけにはいかない。
そんな本能的なストッパーのような思考が働いた。ひとまず、最低限の情報は整理したくて、気遣うような声で尋ねる。
「そもそも、兄さんがよく口にしている、今もなお力を持っている名家とは、一体なんなのですか?」
「私たち蒼緋蔵家を含む三大大家は、戦乱の世において屈強な戦士として名を馳せ、化け物を退治したという逸話を持つ一族だ。不思議な能力を持っていたとされる陰陽師もいた表十三家。そして裏二十一家は、それぞれ半分ずつの資質を持っていたといわれている」
とはいえ、と蒼慶は眉間の皺から、若干力を抜いて続ける。
自分が、兄を困らせてはいけない。
その悩みを『自分こそ』が深くさせるわけにはいかない。
そんな本能的なストッパーのような思考が働いた。ひとまず、最低限の情報は整理したくて、気遣うような声で尋ねる。
「そもそも、兄さんがよく口にしている、今もなお力を持っている名家とは、一体なんなのですか?」
「私たち蒼緋蔵家を含む三大大家は、戦乱の世において屈強な戦士として名を馳せ、化け物を退治したという逸話を持つ一族だ。不思議な能力を持っていたとされる陰陽師もいた表十三家。そして裏二十一家は、それぞれ半分ずつの資質を持っていたといわれている」
とはいえ、と蒼慶は眉間の皺から、若干力を抜いて続ける。