それは横たわった馬の間に座り込み、伸びた厚い爪のある手で、人間の腕を掴んで喰らっていた。大きな耳は下に伸びており、首が見えないずんぐりとした図体に対して、手足はガリガリに痩せ細り、着物の腹部だけが大きかった。
似たような姿の男達が、死骸を喰らっている絵の中で、長く太い腕を地面に引きずり歩く大男の姿も描かれていた。その手には人間の首があり、アンバランスなほど小さなその頭の後ろ上部には、血が噴き出すような赤黒い色が塗られてある。
「僕としては、これ、ちょっと見方を変えると、ホラーな創作絵になると思うんだけれど」
「残念ながら『事実を描いたもの』だ。それぞれの名家は戦いに巻き込まれ、そこで多くの家が滅びたとされている。村人達が、特殊筋から出たモノ達を妖怪や魔物として『死体を食い荒らし、生き肝を食ろうては人々を脅かす鬼』という言葉も残している」
話しを聞きながら、雪弥は思わず、小さく顰め面を返してしまっていた。さっきから怪しげな話題が混じっているのだが、そもそも兄がそんな事を口にするのは珍しい。だって、幽霊も迷信も信じない男であるのだ。
似たような姿の男達が、死骸を喰らっている絵の中で、長く太い腕を地面に引きずり歩く大男の姿も描かれていた。その手には人間の首があり、アンバランスなほど小さなその頭の後ろ上部には、血が噴き出すような赤黒い色が塗られてある。
「僕としては、これ、ちょっと見方を変えると、ホラーな創作絵になると思うんだけれど」
「残念ながら『事実を描いたもの』だ。それぞれの名家は戦いに巻き込まれ、そこで多くの家が滅びたとされている。村人達が、特殊筋から出たモノ達を妖怪や魔物として『死体を食い荒らし、生き肝を食ろうては人々を脅かす鬼』という言葉も残している」
話しを聞きながら、雪弥は思わず、小さく顰め面を返してしまっていた。さっきから怪しげな話題が混じっているのだが、そもそも兄がそんな事を口にするのは珍しい。だって、幽霊も迷信も信じない男であるのだ。