昔から、どうしてか動物が寄ってこないというか。ある意味では、自分が好かれないでいるらしい性質であるのは承知していたものの、使命感のようにリーダー馬に追い駆けられるとは思ってもみなかった。

 反射的に反撃してしまうわけにもいかず、そして、あまりスピードを上げて『地面を抉る』と、後で兄の蒼慶に説教されるだろう予感もあり……

 とにかく一言でいうと、かなり疲れた。

 亜希子にさんざん笑われた雪弥は、暴れ馬を宵月に確保してもらった後、緋菜とアリスの『花のネックレス作り』に付き合わされていた。慣れない手作業をぼんやりとやりながら、せっかくの休みに僕は何をしているんだろう、と思った。

 さっき、一旦本館に行っていたらしい蒼慶が戻ってきて、桃宮達を誘いがてら「まるで女子だな」と厭味ったらしく言ってきた。機嫌よくドSなところを向けてこないで欲しいな……と心から思ったし、宵月には「ご希望とあれば、あなた様のために可愛らしい花冠を作ってさしあげます」といった恐ろしい提案までされて、すかさず却下した。おかげで、余計に精神力がごっそり持っていかれた気がする。